家計簿アプリ「マネーフォワード」を提供していることで有名な株式会社マネーフォワードに興味があると考えている方も多いのではないでしょうか?
本記事を読むことで、
- マネーフォワードの本選考を受けるにあたり、知っておくべき基本情報をまとめてインプットできる
といったメリットがあります。
そこで今回は、マネーフォワードのビジネスモデル・事業内容などの基本的な情報をわかりやすく紹介します。
株式会社マネーフォワードとは?
株式会社マネーフォワードは、個人向け家計簿アプリ「マネーフォワードME」などお金に関するサービスを運営している企業です。
創業者の辻庸介氏は、かつて金融機関での勤務を通じて、「日本では多くの人がお金について悩んでいる。お金について悩む時間が少なくなれば、人生において他の大事なことに時間を割ける。人生を豊かにするような、お金に関する素晴らしいサービスを作りたい」と思い、マネーフォワードを設立したそうです。
以下でMVVC(ミッション・ビジョン・バリュー・カルチャーの略。マネーフォワード内で広く使われている)を紹介します。
「マネーフォワードの強みはMVVCの浸透」と言われるほど、非常に重要なものです。
ミッション:お金を前へ。人生をもっと前へ。
マネーフォワードのプロダクトを使うことにより、一人ひとりの生活がお金の問題で脅かされたり、お金が原因で人生のチャレンジを諦めたりすることなく、やりたいことに集中できる社会の実現を目指しています。
ここで1つ注意点ですが、マネーフォワードのミッションは単に「お金の課題を解決する」だけでなく、「お金の課題を解決し、ユーザーの人生を飛躍的に豊かにする」ことにあります。
ビジョン:すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる
ここでのビジョンとは、「ミッションを達成するために目指すべき未来」の意味
オープンかつ公正な「お金のプラットフォーム」の構築、本質的なサービスの提供により、個人や法人すべての人のお金の課題を解決する未来を目指しています。
バリュー(マネーフォワードが社会に約束する行動指針)
バリュー①User Focus
どれだけ制約があったとしても常にユーザーを見つめ続け、本質的な課題を理解し、ユーザーの想像を超えるソリューションを提供することが求められます。
「User Focus」には、見た目が美しいだけのサービスよりも、ユーザーをハッピーにすることに徹底的にこだわってサービスを創りたいという想いが込められています。
バリュー②Technology Driven
マネーフォワードは「テクノロジーが世界を大きく変える」と信じています。
そのため、テクノロジーを追求し、それをサービスとして社会へ提供することにより、イノベーションを起こし続けることを大切にしています。
バリュー③Fairness
マネーフォワードはユーザー・社員・株主・社会などに対して公正かつオープンであることを大切にしています。
「Fairness」は、「年齢や性別・学歴などにかかわらず、結果を出した人が公正に評価される会社を創りたい」との想いから生まれたものです。
このバリューを体現する事例として、マネーフォワードは会社のさまざまな情報を「note」というプラットフォームを通じて公開しています。
カルチャー(マネーフォワードの全員が大切にする文化)
ミッション・ビジョン・バリューまでは言語化している企業が多いですが、カルチャーまで言語化している点はマネーフォワードの特徴です。
また、カルチャーを「ミッション実現のための土壌」と捉え、非常に大切にしている点も頭に入れておきましょう。
カルチャー①Speed
意思決定のスピードを上げ、最速で行動に移し、最速でやり遂げる。
「Speed」のカルチャーを表す1つの事例を紹介します。マネーフォワードCEOの辻庸介氏は「優秀な人材にはどんどん権限委譲し、意思決定を早くする。スピードを大切にしている」と話しており、実際に子会社のマネーフォワードケッサイ社長である冨山直道氏は社長就任当時30歳という若さだったそうです。
カルチャー②Pride
常に成長し続け、最高の結果を出すために、プロとして高い意識をもってやり抜く。
カルチャー③Teamwork
One for all, All for one.の精神を大切に、ひとつのチームとなって目標を成し遂げる。
カルチャー④Respect
感謝と尊敬を忘れずに、誰に対しても誠実であり続ける。
「Respect」のカルチャーを浸透させるための制度に「ピアボーナス」があります。これは、日常の見えにくい成果や定量的には測れない成果を可視化し、感謝の気持ちを伝える制度です。
マネーフォワードはカルチャーを言語化するだけでなく、社内に浸透させるために制度をつくるなど行動に移している点が特徴です。
カルチャー⑤Fun
仕事を楽しみ、成長を楽しみ、人生を楽しむ。
マネーフォワードの事業内容とビジネスモデル
マネーフォワードの採用選考に応募するにあたり、基本的な情報である事業内容とビジネスモデルを把握しておくことは重要です。
そこで、マネーフォワードの代表的な4つの事業内容、ビジネスモデルを簡単に紹介します。
以下がマネーフォワードの事業内容と各サービスのシェア率です。
①【個人向け】Money Forward Home
マネーフォワードHOME分野のサービスに「マネーフォワードME」がありますが、銀行・クレジットカード・証券・保険・年金・ポイントなど、利用者のお金に関する情報をまとめて管理できるサービスです。
ユーザーは順調に増加しており、以下の最新の決算資料(2021年11月期)によると、コロナ禍にもかかわらず有料プランからの収益が2020年11月期と比べて+25%も増えています。
現在個人に対する提供価値の拡大を図っており、具体的には個人の支出を見える化する段階から、支出改善に向けたアクションをサポートする方向へ舵を切っている状況です。
そこで、さまざまな企業と連携しています。例えば、SymEnergyとの協業により、東京電力や関西電力などが提供する電気料金よりも3%低い価格で提供できるようになりました。
他にも保険の見直し診断サービスを提供する保険会社と協業するなど、ユーザーの支出改善に向けたアクションをサポートすることに注力しています。
ビジネスモデル
「マネーフォワードME」はフリーミアムモデル型のサービスです。
フリーミアムモデル型:最初は無料プランでユーザー数を増やし、後に有料プランへの移行を促すことで収益向上を図る仕組みのこと。このビジネスモデルは導入のハードルが低いためユーザー数の大幅な増加が期待でき、認知を高めることで一定のシェアを獲得できる点がメリットです。
そして、ユーザーは複数の口座残高の一括管理といった基本的な機能は無料で利用できます。前述したように、フリーミアムモデル型は無料プランから有料プランへの移行により収益アップを図る仕組みのため、マネーフォワードMEにも月額約500円を課金すればより多くの機能が利用可能な有料プランが設けられています。
②【法人向け】Money Forward Business
Money Forward Business分野の代表的なサービスは「マネーフォワードクラウド」ですが、これは契約の締結から請求書の発行・債権管理・会計処理まで幅広くカバーするものです。
上場企業だけでなく、中堅企業・IPO準備企業まで、幅広い企業に導入されている点も特徴的です。
現在は、全国の支社を通じて会計事務所の顧客数を増やすことに注力しています。ちなみに国内従業員規模上位100会計事務所のうち70%がマネーフォワードクラウド会計を導入しており、会計のプロからも支持されている信頼性の高いサービスであることがわかります。
ビジネスモデル
法人向けサービスの収益構造は、主に収益がストック型で積み上がる月額課金モデルであり、サービスやプランにより価格が異なります。
ストック型:サービスを月額で課金することにより、毎月一定の収入が継続的に入る仕組みのこと。従来は契約の際に一括で料金を請求することが一般的でしたが、年々類似サービスが増加し、モノが売れにくい世の中に変化したことで毎月安定的に収益が入るストック型が主流になりつつあります。
販売経路ですが、マネーフォワード公式サイトでの販売だけでなく、営業メンバーによる会計事務所・一般企業への販売、商工会議所を含む代理店経由での販売を実施しています。
③【金融機関向け】Money Forward X
Money Forward X分野では、地方銀行などと協力しながらサービスを提供しています。なぜなら、すべての人のお金の課題を解決するためにはマネーフォワード単独では難しいと考えているためです。
Money Forward X分野では、事業内容が2種類あります。
1つ目は、Money Forward Xが主導でサービスをつくり、地方銀行などに提供している「マネーフォワード for〇〇」「通帳アプリ」などです。前述した「マネーフォワードME」のユーザーは都市圏が多く地方ではまだ少ないため、地方銀行と協力して地方のお金の課題解決を目指しています。
2つ目は、ユーザー調査を元に地方銀行などと一緒に新規でサービスを創る事業です。この事業はプロジェクト数こそ多いものの、機密性が高いため社内でもほとんど知られていません。また長期的なプロジェクトが多く、まだリリースできていないプロジェクトが多い状態です。
Money Forward X分野の業績も順調に伸びており、最新の決算資料(2021年11月期)によると、売上高は2020年11月期よりも+52%と大幅に成長しています。
ビジネスモデル
Money Forward X分野の収益構造は、「マネーフォワードfor〇〇」や「デジタル通帳」などのサービス提供によるストック型の月額課金モデルと、地方銀行などからの初期サービス開発依頼やプロモーション支援などにより発生する一時的なフロー型の課金モデルの両輪で成り立っています。
フロー型:フロー型とは、一度商品やサービスを売って終わりのビジネスです。よく対比されるビジネスモデルに「ストック型」がありますが、ストック型(いわゆる月額課金制度)は毎月一定の収入が入るのに対し、フロー型は一度に多額の収入が入る点が異なります。
④Money Forward Finance
Money Forward Finance分野では、既存事業のデータを活用した新規事業を展開しています。
例えば、「マネーフォワードKESSAI」では取引先の与信審査から請求書発行・代金回収までの決済業務を一括して代行するサービスを提供しています。
業績ですが、他の事業領域よりも低調気味であるといえます。以下の最新の決算資料(2021年11月期)によると、売上高は2020年11月期よりも-2%となっています。
他の事業領域がすべて前年同期比+成長しているため、マネーフォワードの4つの事業の中で課題点が多く残る分野であることがわかります。
ビジネスモデル
Money Forward Finance分野の収益構造は、企業間後払い決済サービス「マネーフォワードKESSAI」の与信・請求・代金回収などの業務代行による手数料収入が中心です。
マネーフォワードの先進的な取り組み3つ紹介
マネーフォワードは、一人ひとりが自分らしく働けるよう、さまざまな制度を取り入れています。そこで、マネーフォワードの福利厚生に関する先進的な取り組みを3つ紹介します。
先進的な取り組み①ヘルスサポート制度
マネーフォワードは、「健康だから働ける。健康だから成長できる。」という考えを大切にしています。そのため、社員の健康をサポートする制度を積極的に実施しています。
中でも、「リラクゼーション制度」と「メディカルアシスト制度」は他の企業ではあまりみられない制度です。
まずリラクゼーション制度は、ボディケアやストレッチ・アイ・ヘッドスパ・ネイルケアを有料で受けられるものです。特に女性の方にとって、会社内で美容のケアをできることは時間の削減につながるため、嬉しい制度ではないでしょうか。
次にメディカルアシスト制度は、病気やケガに関する悩みを24時間365日相談できるものです。毎日忙しく働いていると自分の体を気遣う余裕がなくなる方も多いですが、この制度により心身ともに健康でいられるため、仕事のパフォーマンス向上につながるでしょう。
先進的な取り組み②ファミリーサポート
マネーフォワードは、「社員が仕事に集中できるのは、家族のようにその人を支えてくれる存在があるから。その人達に対して感謝の気持ちを忘れてはいけない」と考えています。そのため、社員の家族を支援する制度がいくつか実施されているのです。
以下がファミリーサポートの具体的な項目です。
- ファミリーデー
- 家事代行・ベビーシッター
- 介護アシスト
- 産休・育休
中でも、他社ではあまりみられない上記3つの制度を簡単に紹介します。
まず「ファミリーデー」ですが、マネーフォワードの仕事や職場・一緒に働く仲間のことを理解してもらい、マネーフォワードのファンになってもらうという目的でオフィスでのツアーや懇親会を実施しています。
次に「家事代行・ベビーシッター」とは、家事代行サービスやベビーシッターサービスを初回費用割引で利用可能な制度です。
そして最後は「介護アシスト」ですが、介護について電話で相談できる制度です。近年高齢化社会の急激な進行のため、親の介護と仕事の両立に苦しむ方が増えているといわれています。しかし、この制度の利用により介護のストレスを一人で抱え込まずに済むため、ストレスの軽減につながり、結果的に仕事のパフォーマンス向上が実現するでしょう。
先進的な取り組み③コミュニケーションサポート
マネーフォワードは、「よりよい会社やサービスを創るためには、質・量ともに充実したコ
ミュニケーションが必要不可欠だ」と考えています。そのため、社員同士のコミュニケーションを促進する制度を取り入れています。
以下がコミュニケーションサポートの具体的な項目です。
- オープンドア(全社員向け)
- MF Happy Hour
- ピアボーナス
まず「オープンドア」とは、マネーフォワード代表の辻庸介氏と社員が月に一度対話できる制度です。「社長と話したのは最終面接か入社当初のオリエンテーションのみ」という方も多いのではないでしょうか。しかし、社員よりも遥かに広い視野をもっている社長の考えを知ることは、自身の業務内容を会社全体で俯瞰的に捉える良い機会になるでしょう。
次に「MF Happy Hour」ですが、全従業員が無料で参加できる全社懇親会のことで、毎月開催されています。現在は新型コロナウイルスの影響により対面で実施されているかは不明ですが、社員だけでなく内定者・マネーフォワードの選考に応募している方も参加できる点が特徴的です。
最後に「ピアボーナス」とは、カルチャー紹介で述べた通り、日常の見えにくい成果を可視化し、感謝の気持ちを伝える制度です。これにより、社員のモチベーションアップが期待できます。
【書籍】失敗を語ろう。「わからないことだらけ」を突き進んだ僕らが学んだこと
ここまでマネーフォワードの事業内容などの基本的な情報を紹介しましたが、面接ではマネーフォワードのことをどれだけ学んできたか把握する質問がされる可能性があります。
そのため、創業者である辻庸介氏が執筆した書籍をぜひ面接前に読んでおきましょう。
マネーフォワードが、無数の課題をクリアしながらサービスを拡大してきた道のりがわかる書籍です。
マネーフォワードに興味がある方や選考を受ける方は一読することをおすすめします。
- 出版社:日経BP
- 発売日:2021/6/24
- 著者:辻庸介
まとめ
今回は、マネーフォワードの事業内容といった基本的な情報を解説しました。
マネーフォワードに限らずですが、企業の面接を突破するためには事前の情報収集が不可欠です。そのため、本記事の情報だけでなく、先ほど紹介したマネーフォワード社長である辻氏が執筆した書籍も読むことをおすすめします。